夫のひきこもり

このところ連日ワイドショーをにぎわせている中高年のひきこもり
「80・50問題」では、高齢の両親に依存する未婚の子どもをどうしたらよいか、
という議論になっています。

それと同様に、妻を困らせているのが夫のひきこもりです。
妻子があり過去にはきちんと働いていた普通の中年男性が、
ある日突然ひきこもってしまうというケースです。
----------------------------------------------------------------------------
夫42歳、妻38歳、小学3年と1年の息子2人。
夫は3年前まで有名な電機メーカーに勤務していました。
残業が多く疲弊していたところに異動してきた上司とソリが合わず
うつを患って半年間の休職となりました。
傷病手当や妻のパート収入で当面はやっていけるし、
何より真面目で我慢強い夫が倒れるほど病んでしまったことを心配し、
妻は夫にゆっくり休んでほしい、と温かく見守っていました。

しかし復職の時期が来た時、夫はなんの相談もなく退職。
たまにネットの転職サイトを見ている気配はあるものの、
面接に出かけることもなく、終日スマホゲームをしています。
家にいるならせめて家事、育児を手伝ってくれればいいのに、
ロクに息子たちと遊んでもくれません。

つい「これからどうするの」と責める口調になってしまう妻に、
「うるさい、俺は病気なんだ、ほっといてくれ」と大声を出す夫。
息子達も家で寝そべってばかりいる父を敬遠するようになってしまいました。

たまに夫が穏やかな時に妻から「仕事を探してほしい」とお願いをしています。
しかし夫は、
「俺は仕事に向いてない。またあんな職場に行ったら死ぬしかなくなる」
「俺は家庭にも向いてなかった。一人で生きたいから別れてくれ。お前たちが
俺にプレッシャーをかけるのが耐えられない」
「どこかの田舎で農業をして暮らす」
などと計画性のないたわごとばかり言います。
反論すると逆切れするので妻はこれ以上職探しを求めることができません。

夫はもともと友人がほとんどいない人で、遊びに出かけることはないのですが、
毎日の晩酌やオンラインゲームにかかる費用は月に数万円とバカになりません。
これから子どもたちの教育費もかかるのに、貯金も底をついてきました。
夫は親としての責任をどう考えているのだろう?
これなら離婚して児童手当を受給した方がいいんじゃないか?

・・・妻はだんだんと夫の存在が疎ましくなってきています。
----------------------------------------------------------------------------

このようなご相談はまれではありません。

世間でいうひきこもりのように社会と隔絶されているわけではなく
気が向いたら子どもと遊園地に行ったり買い物に行ったりと、
普通のお父さんのような過ごし方もしているのです。
ただ仕事を再開する意思が見えない、というだけです。

もし妻に生活力があれば、夫婦の役割分担を交代して
夫が専業主夫になるという手もあります。
夫婦ともにジェンダーの枠にとらわれなければそれも素敵な生き方です。
しかしこのような夫は往々にしてプライドが高く、「主夫」になることを
良しとしないので厄介です。

でも、ずっと家にいる夫自身も内心焦りと不安でいっぱいなはずです。

周囲の同年代の男性と比較して劣等感を抱いていることでしょう。

だけど今更中小企業で働くのはイヤだ。

納得のいかない転職先でもうまくいかなかったらもっと落ち込んでしまう。

そんな風に、プライドと劣等感の間で立ちすくんでしまい、動けなくなっているのです。

こんな時妻はどうしたらいいでしょうか?

それはアイメッセージで気持ちを伝えることです。

X 「あなたはいつまでそうやってるつもり?家族のことを考えないの?」
X 「早く仕事を見つけてよ!」
〇 「あなたが元気でないと私は寂しい」

〇 「私はあなたの笑顔が見たいと思っているの」

Xの文章の主語は「あなた」です。夫を責めているようなニュアンスになっています。
それに対して〇の文章の主語は私。
あくまで私の気持ちを伝えただけなので、夫を非難するニュアンスは薄れていますね。
冷静な話し合いに応じてくれない夫には、折々に妻が自分の気持ちを伝え続けることです。
夫から特に反応がなくてもすぐに諦めることなく伝えていけば、夫の心に響く時がきっとやってきます。

そして、夫の気持ちがほぐれてきたら夫にカウンセリングを受けてもらいましょう。
身内には感情的に反発してしまう夫も、他人の前では案外正直に本音を吐露して
気持ちの整理をすることができるものです。
夫婦一緒にカウンセリングを受けることができたらもうトンネルを抜ける日も近いと思います。