性交痛を感じたら

ネットショップでアダルトグッズが買えるようになり、性交痛を和らげるローションの種類も増えて確実に利用者は増えています。

しかし実際に相談を受けていると、性交痛に悩む更年期世代の使用率はまだまだ低いと感じます。

中高年は情報に疎いということもあるでしょうが、知っていても使ったことがないという女性がとても多いのはなぜでしょうか。

それは日本人に特有の根性主義、自然主義に起因するように思います。
出産でも、ヨーロッパでは主流の無痛分娩が少ないのは、「痛みに耐えるからこそ母性愛が生まれる」という信念のようなものがあるからではないでしょうか。

 

出産方法は個人の自由だし、現代では生涯に何回もあるものではないから痛みが記念になると言えなくもありません。最近では無痛分娩での事故の報道もあり、やはり恐いものだと思う人もいるでしょう。
でもセックスに関して言えば、定期的に行うセックスがいつも痛いのではセックス自体が億劫で恐いものになってしまいQOL(生活の質)が確実に下がります。

「自然の潤いが足りなくなったら女としてもう引退、と思われそう」と心配する中高年女性が多いのですが、体の変化を当然のこととして受け入れ、“自然体”にこだわらずに痛みを改善する便利グッズに頼ってもいいのです。

ローションを妻から夫に提案するには

よくあるご夫婦のケースです。
夫52歳、妻48歳、とても仲良しでセックスも週1を保っています。しかし奥様はこの数か月ずっと挿入時にきしむような違和感を覚えていました。いつまでも若いと思われたいという見栄があり、更年期だと夫に言えません。挿入してしばらくすると多少は潤って楽になるので、なんとかなると放置していました。

ところが先日、入れた瞬間にビリッとした激痛が走り、最後までひりひりした焼けつくような感覚が消えませんでした。後でトイレに行くと軽く出血しており、傷が癒えるまでトイレの度に沁みる不快感がたまりません。

「毎週こうなったらどうしよう・・・でも痛いと言って夫が引いたらセックスレスになっちゃうかも」と不安になってしまいました。

夫に言えない妻の心情としては、老いを認めたくないプライドと、夫のテンションが下がってレスになることへの不安があります。そこで奥様には、更年期と言わずにローションをプレイの一環として夫に見せ、楽しんで使うというスタンスにすることを提案しました。

早速奥様はこんな風に実行してみました。

土曜日の晩、いつものように夫がベッドに入って奥様を抱き寄せようとした時にこう言ったのです。

「ねえ、私の後輩でけっこう派手に遊んでる子がいるんだけど、今日彼女と会ったらこんなものもらっちゃった。どうしよう?」とおどけて予め用意してあった各種のローションを見せました。

「つけるとひんやりするもの、逆に火照ってくるものと触感も違うし、匂いもいろいろあるみたいよ。バナナとかオレンジとか」と色とりどりのローションを並べるとポップなお菓子のようにきれいで夫の目を引きました。

更に、
「口に入れても大丈夫な素材だし、男女どちらにつけてもいいんだって。ちょっとやってみようか?」と夫に塗って、いつもよりもっと丁寧に口で愛撫してあげたのです。

まずは夫の好奇心を喚起し、その効果を体でわかってもらう、という作戦です。
ローションは性交痛対策だけでなく、男女両方の快感をアップさせる効果もあるので夫も喜んで使ってくれ、その後のセックスはうまくいくようになったとのことでした。

ローションを夫から妻に勧めるには

男性の相談者から、
「妻が濡れないので挿入するとペニスがこすれて、皮剥けしてしまった。」

「どうも濡れてないようだが、妻が何も言わないから僕が指摘したら傷つくかなと思って言えない」
というお話を聞くこともあります。

男性からローションを持ち込む場合も同じです。
女性が興味を持ちそうなアダルトグッズと一緒に見せるのもいいかもしれません。
あくまでプレイとして楽しもうと誘いかければ、妻の女としてのプライドを傷つけません。

家庭でする場合、女性は現実的なので体への影響やシーツの洗濯を心配するかもしれません。その場合は、体に害がないことをしっかり伝え、ベタベタするオイルを避けて水溶性のローションを選ぶとよいでしょう。
膣が乾燥する更年期は匂いも気になりますが、香りのあるローションはオーラルセックスの抵抗感も軽減してくれます。

もちろん、更年期の辛さや痛みのことなど何でも話し合える夫婦関係であるに越したことはありません。でも現実に、日本の中高年はまだまだ奥ゆかしい世代。痛みや乾燥について伝えるのがためらわれるのであれば、こんな工夫でローションを取り入れて楽しいセックスにしていきたいものですね。

 

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