発達障害の夫とのつきあい方

 

増える発達障害の相談

カウンセリングの相談内容には流行があります。
何かの事象がメディアで取り上げられると、「自分もそうかもしれない」と不安になり来談するためです。
ひところはアダルト・チルドレンを自称する方が急増したことがありました。
最近は「うちの母は毒親です」と言う方が多くなっています。

「おとなの発達障害」もこの10数年で広く知られるようになったものです。
昔だったら「変人」「浮いてる」と言われながらもなんとかやり過ごしていたケースに症状名がつくようになったために、様々な影響が出ているように思います。

「症状名がついたことで、自分の違和感に答えが出た気がして安心した」
という方もいれば、
「障害者というレッテルを貼られるのは抵抗がある」
という方もいます。

夫の発達障害に悩むカサンドラ妻

私のところにも「発達障害の夫とやっていけるだろうか」というご相談がよくあります。

発達障害には、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害などがあります。
妻からの相談に絞ると、自閉症スペクトラム障害の一部であるアスペルガーと、ADHDの夫についてが大多数です。
多分これらは、知的に優れているエリート男性が多く、普通に接している分には問題なくつきあえるので、結婚するまではそれほど気にしなかった女性が多いからだと思います。

 

しかし日常生活を共にするようになると、気持ちが伝わらない、ムードがない、思いやりが感じられないといったすれ違いで寂しくなるのです。
発達障害の夫を持ち疲弊する妻が「カサンドラ症候群」と名付けられたこともあり、「私はカサンドラです」と第一声で自己紹介する女性も出てきました。
でも基本的にはまじめで誠実な夫と離婚するつもりはなく、なんとか夫とうまくやっていきたいという前向きな妻がほとんどです。

結婚2年目のRさん(35)からうかがったのはこんな夫像でした。

Rさん(35)のケース

交際時代から違和感はあったんです。しょっちゅう待ち合わせに遅れる、財布やケータイをすぐ失くすなど、そそっかしい人だなと思っていました。でもちゃんと謝ってくれるしそれも愛嬌のうちだと許してました。

すごく恥ずかしがりで女性経験も少なかったみたいで、はっきり言ってHはヘタでしたが、それ目的で結婚するわけじゃないし、そのうち変わればいいと気にしてませんでした。

でも結婚披露宴に寝坊して遅刻してきたのには本当に腹が立ちました。そんな大切な日を何だと思っているのか?
おかげでうちの両親も彼をよく思わなくなってしまいました。

結婚してからはどんどん困った面が見えてきました。

神経質なところとおおざっぱなところがあり極端。
衣服には潔癖で日に何回も洗濯機を回すくらいなのに、地面に落ちたものを平気で拾って食べるとか。

比喩が通じない。「Aさんが死にそうなくらい大変だったって言ってたよ」と話した時、「Aさん死にそうなの?入院してるの?」と聞くのでびっくりしました。

物忘れがひどい。ガスや電気のつけっぱなし、鍵の閉め忘れ、忘れ物を取りに戻るなど、何度注意しても変わらない。
メモをするように言っても、メモすること自体を忘れるのでどうしようもない。

日常の困ったクセは私が母親のように注意したり世話を焼くことでなんとかカバーできるのですが、辛いのが夫婦生活なんです。

彼はムードを出すのが苦手。というかムードが何かわからないみたいで、突然したくなった時には子どもがだだをこねるみたいに「しようよ、しようよ」と言い出します。
夫は私に甘えるのが好きで、ふざけて腋をくすぐってきたり乳首をひねったりします。
夫にとっては遊びの一環なんだろうけど、私には不快で、「くすぐらないで!」「ひねられたら痛いでしょ!」と拒否します。でも「いいじゃん、いいじゃん」と執拗に続けるのです。
私が強く怒るとしゅんとして中断しますが、学習してくれなくて、その次のHの時にまた同じことをするんです。

決まった手順や体位へのこだわりがあるのか、いつも同じことしかしないのも寂しいです。私が違うことをしてほしいと言っても変わらないので要求するのもやめてしまいました。

遠慮がないのもイヤなところです。裸になると「わー太ったね、このぜい肉!」とつまんで笑ったり、下半身に顔をやって「汗臭い!」と鼻をつまんだり。「XXさんは君と同い年なのにそんなに眼尻にシワがなくてきれいだよ。君、老けてるよね」と同僚の女性と較べたり。
昔は私もHが好きだったのに、もうなくてもいいと思うようになりました。

夫の仕事は研究職で、好きなことにはものすごく集中力があります。お給料もよく、生活には困らないと思います。
悪い人ではないとわかっているだけに離婚したいとは思いません。
ただ、とても寂しいのです。夫に守られる妻になりたかったのに、経済面以外では夫から守られるどころか母親みたいに頼られるだけで一生が終わるのでしょうか。

気持ちが通じ合わない寂しさ

Rさんは夫と気持ちが通じ合っている感じがないことが寂しいと言います。
でも夫を見捨てることはしたくない、という責任感と優しさがありました。

この場合、夫の特性を完全に変えることは難しいと思われます。
でも、どうしてもイヤなことを一方的に我慢するのでは結婚生活が続きません。

そこでRさんには次のようなアドバイスをしました。

生活面での支障は工夫をして改善していく

ガスのつけっぱなしなど危険行為は厳しく言い聞かせなければなりません。
でもどうしてもうっかりミスが直らないのなら、環境を修正して大事にならないようにすることです。
ガスコンロをIHヒーターにすれば災害の心配はとりあえずなくなります。
忘れ物は、子どもの躾みたいで情けなくなりますが、毎朝Rさんがチェックするようにしました。
あまり世話を焼くとかえって努力しなくなる恐れはありますが、
トラブルにイライラするよりはまし、と割り切ることにしたそうです。
「ずっと成長しない永遠の子どもを育てているつもりでいることにしました」と苦笑いをしていました。

デリカシーのない言葉は具体的にひとつひとつ禁止する

「太ったね」とか「老けたね」という言葉は「醜くなったね」と批判されているような気がするから傷つくのです。
しかし夫は、「どうしてそんなことで傷つくの?悪口じゃないよ、真実を言ってるだけだよ」というスタンスで、傷つく気持ちが理解できません。

そこで「傷つく言葉はイヤ」ではなく、「太っているはNG」というように、具体的にひとつひとつの言葉を禁止用語にしました。禁止用語リストを作ったら、一応は気をつけて言わないようになりました。

セックスの場面でのデリカシーのなさについては苦労したようです。
乳首をつまむといった不快な行為を禁止することはなんとかできたのですが、決まった手順の行為しかできない部分は夫のこだわりが強く、変えるのをあきらめたそうです。

テクニックをアップさせる

そこで手順を変更するのではなく、それぞれの行為のテクニックをアップさせる工夫をすることにしました。
体位の順番が変えられないのなら、それぞれの体位にちょっとしたバリエーションをつけるとか、タッチのテクニックを上げるなど。Rさんから率先して手本をやって見せて、夫に同じことをやってもらうということを繰り返しました。
夫も自分がされて気持ちいいことは素直に受け入れたので、Rさんにお返ししてくれるようになったそうです。
そして、新しく習得したテクニックを夫のルーティンに組み込んでいったのでした。

前向きにあきらめる

「夫に理解してもらえない寂しさがなくなったわけではありません。でも前向きにあきらめることにしたんです」
「夫を変えようとするより、夫を受け入れられるように、自分のキャパを広げることにしました。自分だけが我慢すると思うと辛いけど、自分が幸せに生活するため、自分のために切り替えるんだ、と思うと意外とイヤな気持ちにならなくなりました」

Rさんは上手に夫を受け入れ、自分自身の葛藤に折り合いをつけていけるようになったのでした。

変わらないことは前向きにあきらめる。
変えられそうなことは地道に変えていく努力をする。

それが夫婦関係を長続きさせるコツなのだと思います。

 

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