浮気を告白してはいけない

 

浮気は墓場に持っていけ

よく言われるのが「浮気は墓場にもっていけ」「例えベッドにいるところを発見されたとしても絶対関係を認めるな」ということ。

妻の立場になれば、たとえ99%疑わしくても1%を信じたいと思うものです。
それはやっぱり離婚したくないからです。
それが夫への愛情なのか、今の生活を壊したくないからか、子どものためか、さまざまでしょうが、たとえ仮面夫婦になったとしても離婚はしたくない、と思う妻は案外多いのです。

離婚しないのであれば余計なことは考えたくないもの。
だから疑わしいグレーのままの方が、決定的な証拠をつかむよりもまだマシだと思うのです。

 

正直者のご主人は嘘がつけない

しかし正直者の男性はいるものです。

Tさん(42)のご主人(45)のケースをご紹介しましょう。
(ご相談内容は個人が特定できないよう変更を加えてあります)

 

Tさん夫婦には中2と小6の子どもがいます。
ご主人は仕事熱心でまじめな方で、飲酒や浪費もしないし、マンネリになっていたとはいえ月に3回程度の夫婦生活も保たれていました。

ところがご主人は出張先のタイで取引先が用意していた女性と寝てしまいました。
一昔前はこのような不届きな接待がよくあったのです。

話を聞くと、ホテルの部屋にマッサージ嬢が差し向けられ、取引先の顔を立てるために彼女を受け入れたところセクシャルマッサージになっていき、いつの間にかセックスしてしまったということで、ご主人にも多少の同情の余地はあるように思いました。

浮気と言っても旅先の、一晩だけの風俗。何食わぬ顔で帰国すればバレずに済んだことでしょう。

しかし嘘がつけないご主人は、帰宅後何日も経たぬうちにTさんに打ち明けてしまったのです。“浮気は墓場に”どころかまだ生々しさの残る段階で妻に謝罪をしました。

 

どんな浮気なら許せるのか

どこからが浮気かという基準は人それぞれです。
風俗ならOKだが一般の人はダメ。
プラトニックならいいが体の関係はダメ。
逆にプラトニックの方が許せない、などなど。

ただ一般的には、出張先の接待で半ば強制的に差し向けられた、という浮気なら許すと考える女性が多いと思います。
しかしTさんは違いました。これまで夫の誠実さを尊敬していたのに、あっさりと性接待を受けたことが許せませんでした。

浮気をした事実だけでなく、下品な接待を倫理観なく受け入れたこと、そしてアジアの女性の性を搾取するという差別的行為の卑劣さが許せなかったのでした。

海外での出来事だし、言わなければ絶対バレない風俗体験をどうしてご主人は打ち明けてしまったのでしょうか。

ご主人は、「これまで妻に秘密を持ったことがなかったので、秘密を持つこと自体が苦しかった」と言いました。

「怒られるのはわかっていたけど、それは自分が負うべき罪だから受け入れればいいと思っていたのです。でもまさか離婚と言われるとは・・・」
と肩を落としていました。

秘密を打ち明けて謝れば肩の荷が降りますが、それは相手に苦しさを半分背負ってもらうことです。
秘密がない人というのは、逆に考えれば相手に負担を強いる無責任な人ということにもなるのかもしれません。

 

浮気を告白した代償

夫の浮気が許せなかったTさんは離婚を申し出て、すぐにマンションを見つけて子ども達と家を出てしまいました。
慌てたご主人は何度も謝罪のメールを送り、なんとか打開しようとカウンセリングにも来たわけですが、妻の怒りはなかなか収まりません。

元々仲のいいご夫婦ですから、時間が解決するのではと思いとりあえず週末だけでも子どもと自宅に戻ってもらうなど、期間を決めて同居し話し合いをするように勧めました。

ご主人の必死の謝罪で少し気持ちが動いたのか、3か月ほど経った頃に「しばらく一緒に暮らしてみる」とTさんが折れて、表面上はまた普通の生活に戻りました。

そしてしばらくしてから、ご主人が恐る恐る誘ってみたセックスにも応じてくれたのでした。
ご主人は、“やっとやり直せる”と嬉しくてたまらなかったそうです。
しかし行為の終盤で突然妻が泣き出したのでした。

「やっぱりダメ、許せない・・・」

と号泣して、お互い惨めな気持ちのまま終わったとのことでした。

Tさんなりに必死で夫を許したいと思い、セックスを再開することでわだかまりを溶かそうとしていたのでしょうが、逆にどうしても許せない自分の心に気づいてしまう結果となったのでした。

 

自分がラクになるための告白はしない

このようなケースでは、やがて妻が根負けして夫を許し、なんとか元のさやに納まる、ということが多いと思います。

しかし純粋過ぎたこのご夫婦は、この事件がきっかけで日常のあらゆることがぎくしゃくしてしまい、結局不和が深刻になって離婚することになりました。

離婚してでも貫きたい「本気の不倫」でない限り、浮気をパートナーに告白していいことは何もありません。

嘘をつく罪悪感を持ち続けることこそが浮気の重い代償だと覚悟して、秘密を墓場に持っていくことが、家族を幸せにする最善の方法だと私は思っています。

 

 

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