経験してもしなくても幸せになれる

性経験がない日本人が増えている

性経験がない人は世間のイメージよりも多いと思います。
2005年頃から初体験年齢が上昇傾向になっており、18~39歳男女の約25%が経験なしという統計もあります。
「赤信号 みんなで渡れば恐くない」のように、自分と同じ境遇の人がたくさんいるならば気にならないということか、最近は「未経験の劣等感」を主訴とする相談が減っている印象があります。

価値観が多様化し、自分を人と較べず、自分は自分だと思えるようになったのはとてもいいことですが、一方で最初から交際やセックスを諦めてしまうのは少し寂しいような気もします。

そうはいっても、人には得手・不得手があります。
恋愛下手、交際下手なタイプの方は確かにいます。
女性の場合はまだ受け身でいても声をかけられるチャンスがありますが、男性は年を重ねるほど自分から積極的に押していかないと交際に発展しません。

「自分の性格を変えていつか女性と交際したい」と真剣に悩む方の相談を受けると、なんとかその思いを叶えてほしいと私も願うのですが、なかなか思い通りにならないこともあります。

10年以上前、数年間にわたり来談した男性Nさん(当時45)はその口下手な性格から交際することができずにいました。
(以下のご相談は個人が特定できないよう変更を加えてあります)

 

交際とセックスをしてみたい

Nさんは商店街で家業の文具店を営んでいます。離婚後女手一つでNさんを育ててくれた母は認知症で施設に入所しています。1人で店番をするため日中に外出できないこと、時代の波に逆らえず文具店経営では収入が少ないこと、最近までは母の介護があり自由時間がなかったことなどで、女性との出会いに恵まれませんでした。

 

「でもどんな境遇でも結婚する人はしているし、これは言い訳ですよね。女性を誘う勇気が自分になかっただけなんです。断られるのが恐くて臆してしまうんです」
と俯き加減にとつとつと話すNさんは、小柄で痩せ型、こわばった表情で私の目を見ることもなく、いかにも気弱そうです。

主訴は「交際をして、その人とセックスをしてみたい」ということでした。
過去に何度か風俗経験がありますが、本番なしで触ってもらっただけとのこと。本番をしなかったのは、潔癖なのでも”好きな人とだけ”というこだわりがあったわけでもなく、「単に恐かった」からだそうです。
しかし40代も半ばを過ぎて恋愛やセックスへの憧れが湧いてきて、「今度こそ自分を変えたい」と強く思うようになりました。

潮「Nさんにとってのゴールは何でしょうか?」
Nさん「結婚です。でもその前にまず、愛し合っている人とセックスをしてみたい」

そこでNさんの過去の恋愛経験を洗い出しました。
過去に何度か片思いはあり、デートにこぎつけた人も数名いました。
しかしデートは多くて3回。その後はさりげなく断られたり、メールをブロックされたりして終わったそうです。
寡黙で会話が続かないNさんの様子を見ていると、きっと”話が合わなくてつまらない”と思われたんだろうな、と想像されます。
しかし会話は練習次第で上達するはず。まずは練習の場を作ることから検討しました。

 

 

出会いの場に顔を出す

出会いの場としては、同窓会、結婚相談所、出会い系パーティー、商店街のお祭りなどを考えてみました。

自営業で収入もかんばしくないNさんは結婚相談所のアドバイザーに厳しいことを言われたことがあり、相談所は無理だとのこと。
当時はまだ今のようなマッチングアプリがなく、mixiが出会いの場として活用されていましたが、Nさんはネットでの出会いにも懐疑的で気が進まないとのことでした。

そこで身近な人への声掛けから始めることにして、同窓会や商店街の会合でとりあえず誘ってみること、今でいう「街コン」のようなイベントに出席してみることになりました。

 

話し方を工夫する

次に、話し方を変えてみようと伝えました。
Nさんは丁寧すぎる敬語が多く、また「そうなんです」を「そうなのです」というように、堅苦しく聞こえる発話の癖があったので、もっとくだけた話し方でフレンドリーに見られた方が距離が縮まるとアドバイスしました。
長年の癖をいきなり変えるのは難しいことですが、初めてのデートを想定したロールプレイで練習をしているうちに少し慣れてきて、うっすらと笑顔も見られるようになりました。

話題に困らないよう、時事ネタ、芸能、スポーツ、おいしいお店などの情報を仕入れておくことも宿題としました。
最初は「趣味も特にない」と言っていたNさんでしたが、話しているうちに星占いがかなりの腕前であることがわかりました。客が来ない時間帯に本や動画で学んだそうですが、よく当たると友人に評判だそうです。
「女性は占いが好きだからぜひやってあげてください。生年月日もわかるし、誕生日に誘うこともできるかもしれませんよ」
と励ましておきました。

 

努力はしたものの・・・

その後Nさんは月に2回ペースで来談し経過報告をしてくれるようになりました。
意外にも今回は腹をくくって頑張ったようで、過去に1回だけ会ったことのある人を掘り起こして連絡したり、商店街の知人に頼んで飲み会に参加させてもらったりと頑張っていました。
きまじめな性格のため、「やると決めたらとことんやる」と突っ走り、なんと街角でナンパまでしていたのです。当然断られてしまいましたが、それができたというだけで達成感はあったようでした。

私は「積極的になるのはいいことですが、いきなり街で声をかけられてついていく女性はめったにいないし、まずはお互いが出会いを意識して参加する合コンの方がチャンスがあるのでは・・・」
とやんわりと伝えました。

それから数か月して、3回目のデートの約束までこぎつけることができました。
「脈がありそうだから、一気にセックスまで持ち込めそう」と意気込んでおり、そうなった場合の手順をいろいろ聞かれました。
しかしベッドでのふるまいを頭に叩き込んだとしても、経験がないのはすぐにバレます。風俗で練習する気がない以上、彼女に正直に「経験が浅い」と告白した方がいいように思いましたが、相手が20代と若くそれは言いにくいとのこと。
「功を焦って強引にならないように。よほどのことがないとまだホテルは無理と思った方がいい」とくぎを刺しておきました。

後日、結果報告を受けました。
食事後歩いている時に腰に手を回し、「ここのホテルを取ってあるんだ」と言ったところ、「彼がいるんで行けません」とあっさり断られたそうです。
「また食事でも」と言って別れましたがその晩にメールがブロックされて連絡がつかなくなりました。
「脈がありそう」というのは彼のひとりよがりな思い込みだったのかもしれません。
素朴で真面目そうなNさんの外見から、彼女は”食事をおごってくれるおじさん”程度にしか思っていなかった可能性もあります。

肩を落とすNさんが気の毒になりましたが、とりあえず「女性を誘ってデートする」というプロセスを踏めたことを褒め、「トライアンドエラーを重ねていくうちに気の利いた会話ができるようになるでしょう」と励ましたのでした。

 

もういいや、と思う時

その後も何人か食事をした女性がいましたが、いつの間にかフェイドアウトされるという結果ばかりでした。

そしてある日彼がつぶやいたのは、
「最近もういいかな、と思い始めています。人並みに結婚したい、人が楽しんでいる行為をしてみたいと憧れていたけど、最近意欲がなくなっちゃって。エネルギーが枯れた感じがします」
ということでした。

仕事の方も、文具店を閉めてその土地に賃貸マンションを建て1階をコンビニにする計画が進んでいるそうで、今後の資金繰りやコンビニ経営の準備など、にわかに忙しくなったそうです。
「今は仕事の夢が広がってきて、そっちに気持ちが向いているんです」
と明るい笑顔で語ってくれました。

Nさんはしばらくして来談しなくなりました。
5年近く経ったころでしょうか、近況報告のメッセージを受け取りました。
仕事を頑張って充実していること、生活は変わらないが元気でいることが短い文章で語られていました。

 

セックスはしてもしなくてもいい

Nさんのように恋愛やセックスに到達しない人は、確かに一定数います。

その原因は、性欲が弱いことだと思います。
本当にしたくてたまらない人なら迷わず風俗に行くでしょう。
それに、たとえ属性やルックスに恵まれていなかったとしても、本当に誘おうと思えばあらゆる手段を尽くして頑張るため、なんらかのチャンスはあるはずなのです。

技術的な面では、Nさんのように会話がヘタなことも原因になります。
相手との会話がかみあわず違和感を抱かせてしまうところが彼にはありました。
また、食事しただけの女性にいきなりホテルの鍵を見せるなど、極端な行動に走ってしまうところも失敗の原因だったでしょう。

しかしそれらはあくまでテクニカルな部分で、経験を積めば修正されたと思います。
でも「練習を積んでまで頑張らなきゃいけないことなのか?」と疑問を抱いてドロップアウトしていく人もたくさんいます。

ある人にとってはやりがいのある筋トレも別の人には苦痛でしかない。体にいいとわかっていてもどうしても続かない。よくあることです。
同様にセックスも、いかに楽しい、気持ちいいと聞かされていても、そのための努力をするのが面倒くさいと思う人もいます。
それはそれでいいのです。結婚後のセックスレスはパートナーとの関係に重大なヒビが入る可能性があるためお互いの努力が必要になりますが、独身の方がセックスをしない選択をするのはその方の自由です。

恋愛もセックスも結婚も、喜びと幸せをもたらすすばらしい経験ではありますが、それがなくてもすばらしい人生を送っている人はたくさんいます。
してもしなくても幸せになることができるのです。
すべてその人の自由な選択に委ねられているのだと思います。

 

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