「男女差」を理由にすればラクになる?

 

人生や生活に対する「満足度」「幸福度」などの調査が男女別、国別などでなされたものを目にすることがよくあります。
総じて「日本人は幸福度が低い」とか「女性の方が満足度が高い」という統計結果が多いと思います。

こういった「満足度調査」の問題点を指摘している記事があります。
(朝日新聞、2022年6月22日)

この記事では内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2018)を取り上げ、「女性は低賃金である上に育児や介護などの無償労働を担ってきた」「不安定な雇用形態で働く人や従属を強いられる主婦といった持続的な被差別状態にある人は、”不満を言い続けない”などの適応的選好形成の影響を受けやすい」と論じています。

「適応的選好形成」とは「人は置かれた状況に適応し、選好(何をもって満足と感じるか)を形成する」ということです。

「女性の方が小さなことや当然の権利をありがたがる傾向がある」が、だからといって女性は今の生活に満足しているのだから支援しなくてもよい、という発想にならず、社会的支援を充実させるように、とこの記事では警鐘を鳴らしています。

 

この「適応的選好形成」はカウンセリングの場面でよく見られるので私も深くうなづきました。

この考え方自体は決して悪いことではありません。
記事の中でも、「与えられた環境で幸福感を得ようとするのは、仕事や生き方に自信を持つために大切なこと」(西口想氏)と書かれています。
カウンセリングのなかでよくお伝えする「リフレーミング」も、物事を悲観的な側面からではなく、自分にとってプラスになるような見地からとらえてみよう、という考え方です。

「こんなに仕事が多くて辛い」を「こんなに仕事がもらえて幸せ」と考えるのがその一例です。
ただし、無理にポジティブに受け止めて我慢することによって、過労でダウンするという可能性もあります。
「彼に束縛されて窮屈」を「こんなに束縛されるのは愛されているから」と思いこもうとするのは、相手のDVを増長させることになりかねず危険です。

このように、どこまでポジティブ思考をするのが適切かは、個々の状況によるので判断が難しいところです。

 

男脳と女脳はあるのか

男女の脳には性差がある、という考え方が以前かなり流行していました。
女性は右脳と左脳を結ぶ脳梁が太いから感情豊かで話し好き、というような説です。
現代ではこの説は廃れて、脳に全く男女差がないとは言えないものの、それを持って性格や思考方法がどうのというほどの差異ではないという見方が大勢を占めています。

それでも巷には「男は○○で女はXX」というようなタイトルの書籍が溢れ、また売れています。
理由を考えると、人は多分「男女は生まれつき違う」と信じたいのではないかと思うのです。

実は私もカウンセリングの現場で「男性は~しがちですよね」という言い方をすることがあります。
脳科学的には正しくないということになりますが、現実にはカップル間の問題が男女の違いで説明できてしまうことが多いからです。

恐らくそれは親から受けた教育、生育歴に根差しているのでしょう。
最近はだいぶ差別的な発想が薄れてきているとはいえ、男の子の親は息子に「男らしく」あってほしいと願い、「男なんだから強くないと」「男の子は泣かないの」「男なのに野球もできないと恥ずかしいよ」といった言葉かけをしてしまいます。

対して、女の子には小さい頃から料理を教えたり、「シンデレラ」のような玉の輿ストーリーの童話を読み聞かせしたり、「女の子なのに乱暴しちゃダメ」と言ったりします。

こういった親の価値観を内面化して子どもは育ち、やがてパートナーを持った時、相手にその価値観を押し付けようとしますが、相手が違った考えを持っていた場合お互いに不満が生まれてくるのです。
つまり、男脳、女脳の差異は、後天的に親の躾によって生み出されるものだと思います。

 

「男はそんなもの」と諦めることのプラスもある

さて、カウンセリングの場でこの男女の差異を持ち出していいものか、という問題に戻ります。
私自身、SDGsが定着しつつあるこの時代に「男は~」という表現をしていいものか迷うことがあります。

ただ、その考えを持つことで夫婦仲が改善するケースもあるのは事実です。

「男ってそういうものなのね。腹が立つけど仕方ないよね」
と自分自身を納得させる理由にして割り切る場合です。
夫個人の性格と考えたら「なぜこの人はこんななのだろう」と怒りが湧くものの、
男性全般にありがちな特徴と思えば、そういうものか、と落としどころをつけることができる。
不満がなくなるわけではないものの、いったん怒りを納める効果は期待できます。

根本的な関係改善を試みる前にごまかして諦めるのはいかがなものか。
そういう反論はもっともです。
私も来談者が若い夫婦の場合は、これから先の長い夫婦生活を「男はそんなもの」という諦めの境地でやり過ごすのが正しいとは思いません。
男女差という言い訳に逃げず、正面から話し合いをして考え方のすり合わせをするべきです。
しかしそれが60代、70代女性からの相談だった場合、失礼ながら昭和の夫がそう簡単に染みついたジェンダー観を手放して改心してくれるとは思えません。

老後の人生をいかに平穏に過ごしていくか。
それがテーマの場合、今更夫を変えるよりも、内心不満はありつつも「男はそういうものだ」と割り切ってやり繰りしていく方がよほどラクなのではないでしょうか。

正しい考え方と便利な考え方。
その狭間でうまくバランスを取っていくように提案することが、カウンセラーの役割ではないかと私は思っています。

 

 

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