モラハラのパートナーを変えることはできますか?【後編】

 

 

キレ系のパートナーへの対応方法として有効なSET-UP。
 ※参考文献「境界性パーソナリティ障害をもつ人とどう話したらいいですか」(ジェロルド・J・クライスマン著、星和書店)

SET-UPとは、

①S (support)…支援の姿勢を示す

②E (Empathy) …共感して聴く

③T(Truth)…真実を伝える

④U(Understanding)…理解しようと努める  

⑤P(Perseverance)…忍耐強く対応する

です。

以下はSET-UPを実行して夫婦仲を改善した夫Kさん(42)のケースです。
(個人が特定できないよう複数の事例を加工してあります)

SET-UPの使い方

Kさんは結婚10年。「妻(40)がキレるのを何とかしたい。病気だと思うので受診させたい」という主訴で来談しました。

「3年位前から始まりました。きっかけは妻の留守時に息子の面倒をちゃんと見なかったことで、それは僕にも非があるのですが、妻に大声で罵倒され、『さっさと出ていけ』と追い出されてしばらくホテル住まいをしました」

 

それからはちょっとしたことで突然怒り出すようになりました。
「すべてあんたが悪い」「同じ空気も吸いたくないわ」「謝れ」と怒鳴られるので仕方なく丁寧に謝っても、「心がこもってない!」と更に激昂されます。
何を謝ったらいいかと尋ねても「自分の胸に手を当てて考えろ。わからないのは悪いと思っていないからだ」と教えてくれません。謝罪文を書けと言われて何千字にも及ぶ手紙を書いたのに、
「謝罪になっていない」と一蹴されて終わりました。

こういうケースは決して珍しくありません。
パートナーが爆発したきっかけは些細なことであっても、きっとそれはコップの水が最後の一滴であふれてきたのと同じです。そこに至るまでに積もり積もった何かがあるに違いありません。
ただ、それが何なのか教えてもらえないし、怒っている本人も色々あり過ぎて何が本当の原因なのかわからなくなっていることもよくあります。

こういう時は、原因を突き止めそれを反省・謝罪するという、一見正しそうな方法を探るより、”今、ここでできること”に焦点を当てる方が効果があります。

そこで意識してほしいのが前述のSET-UPです。

①支援
常日頃から「私はあなたの味方だよ。あなたのために自分ができる限りのサポートをしたいと思っている。あなたの役に立てたら嬉しい」ということを伝えておく。
この時相手が鼻で笑ったり、「しらじらしい」と嫌味を言ってきたりしてもそこは我慢です。
親身でストレートな言葉かけに慣れておらず、照れやとまどいから皮肉な物言いになっているのかもしれません。

②共感
そしてパートナーから何か話をしてきたら、共感をもって傾聴し相づちを打ちます。解決法をアドバイスするのではなく、「それは大変だったね」「きっと疲れたよね」と辛さを受け止めるだけでいいのです。

③真実
しかし、どうしても要求に応えることができないこともあります。
その場合は「それは無理だ」という事実を伝えねばなりません。その前に十分サポートする姿勢と共感的関わりができていることが前提となりますが、時には、
「その日は大事な仕事があるからどうしてもできないことをわかってほしい。でも翌日なら必ずやれるから」
と代替案を提示しながらもはっきりと断ることも必要になります。
また、話し合いができそうな雰囲気の時を見計らって、
「これから2人でやるべきことを考えていこう。自分はこういうことをしたいと思っているが、あなたは何ができそうな気がする?」と建設的な会話の場を作っていくことも大切です。

④理解、⑤忍耐
これらを実行していくために大事な基本姿勢として、パートナー自身も自分の感情をコントロールできずに苦しみ葛藤していることを理解すること。
そして改善にはある程度の時間がかかると腹を括って、忍耐強くあることが必要なのです。

怒りの原因がわかった

さて、Kさんは覚悟を決めて妻と向き合うことにしました。
サポートしたい意思を伝えても「何を今更」と吐き捨てられムカッとすることも度々でしたが、「理解と忍耐」と唱えながら自分を落ち着かせ、妻が仕事の愚痴を言ってきたら労い共感しながら聴くように努めました。

妻との言い争いが少し減った頃に妻の方からぽろっと出てきたのは、
「私が産後うつになった時にあなたは何もしてくれなかったよね。子どもが夜中に泣き止まなくても起きようとしなかった。限界になって実家の母を呼んだら、母がいると落ち着かないと言って嫌な顔をしたよね」
という10年以上前の恨みでした。
Kさんは妻が大変だったという記憶はあるものの、そこまで追い詰められていたとは全く想像もしていなかったのです。
もちろんその場で謝ろうとしましたが、妻は「もう遅い」と相変わらずの冷たい反応でした。

しかしその頃から少しずつ妻がキレる頻度や態度が改善されてきました。
時には「もう我慢できない、離婚だ」という言葉が飛び出そうになることもありましたが、何とか我慢を続け、2年ほど経った頃にはひどい暴言を受けることはなくなったのでした。

セルフケアを第一に

もちろん、パートナーが荒れている時にただ我慢しろというわけではありません。
それでは自分の方が先に壊れてしまいます。

突然相手が興奮し出して手が付けられなくなったと思ったら、まずは退避することです。
その際に、いきなり出ていくのではなく、きちんと説明しておくことが肝心です。
「今はお互い落ち着いて話せる状態ではないからまずは離れよう。私は自分の部屋に行くね。でもこのことを放置するわけではないからね。後日2人で夫婦会議をして話し合いをしようね」
というように、”今は離れるが見捨ててはいない”ということを強調しておくのです。

そしてもう一つ、自分なりの気分転換法を作っておくことです。
深呼吸や運動でもいいし、1人ですぐにできる趣味、出勤前の30分にカフェで気持ちを整えるのでもいいし、ちょっとした1人になれる時間を作ってリフレッシュしましょう。
まずは自分の心身の健康ありき、セルフケアが最優先です。
そして充電ができたら、ちょっとずつパートナーに働きかけてみてください。
目に見えない速度かもしれませんが、関係性は少しずつ、しかし確実に変わっていくと思います。

 

 

 

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