レス回復の第一歩を乗り越える

 

レス解消は夫婦で取り組む

セックスレスは長引けば長引くほど修復しにくくなります。
それは「今更感」が強くなるから。

「これまで仲良く家族としてやってきてるのに、なんで今更そんなことを?」
と、セックスに消極的なほうは思ってしまうのです。

でも、理由があって拒否している場合は別として、”なんとなく”レスになっている夫婦は、相手が真剣に悩んでいることに気づいていないことが多いものです。
ある日突然「ずっとレスで辛かった」と泣きつかれて初めて「そんなに思いつめていたのか・・・」と愕然とするのです。

度々書いていますが、レスを主訴としてカウンセリングに来るのは妻の側が圧倒的多数です。
日本の一般的な通念として「性的な行動は男性がリードするもの」という考えがまだ根強いため、女性から誘うのは「はしたない」「滲め」というイメージがあり、なかなか言い出しにくいからです。
そこで思い余った妻はカウンセリングを受けて、なにか改善のための名案がないか考えようとするのです。

 

 

夫婦で来談できれば解消しやすい

でも夫婦で来談するケースはうまくいく確率が高いと思います。
妻に頼まれて、第三者の前で恥ずかしいことを話し合おうとしてくれる夫は、そもそも夫婦間のコミュニケーションを大切にするタイプだからです。

多くの夫が、
「こんなに妻が悩んでいたとは知らなかった。つい家庭の居心地の良さに甘えてしまい、家族になりきって男と女としての意識をなくしていたと思う。反省しています」
と素直に謝ります。

じゃあレス解消に向けて動き出そう、となるのですが、そこで問題になるのは、
「どうやって再開したらいいのか」
という夫の側のとまどいなのです。

 

再開の障害は気恥ずかしさ

カウンセリングでは夫婦別々に面談する時間を設けます。
ひとりになって本音をカウンセラーに聞いてもらいたいという方が多いからです。

長年のレス解消に向けて話し合っている夫婦の場合、夫は決まってこんなことを言います。

夫「夫婦にとってスキンシップが大切なことはよくわかりました。でも実際問題として、どんなふうに始めたらいいんでしょうか?」

潮「再開することを想像すると、どんな気持ちになりますか?」

夫「なんか照れくさいというか・・・気恥ずかしい、とまどう、どのように始めたらいいかわからない、という感じですかね」

皆さんが口を揃えて言うのが「照れくさい」なのです。

若い頃は何も考えずに自然に欲求が湧き、相手の体を求めたものなのに、時を経て同じことをしようとすると恥ずかしい。夫婦の間にあって当然のことをするのが恥ずかしくなっている。
よく考えたら変な話ですが、これは普通の感情だと思います。

なぜ恥ずかしいかというと、
セックスという「ロマンチックな愛の確認行為」が日常生活とかけ離れ過ぎていて、長年生活を共にしている家族とするのに違和感を覚えるからです。

ある妻の「しょっちゅう家計簿を前にして夫の浪費を責めて怒鳴っているのに、その後ベッドで悶えるなんてとてもできません」という言葉が印象的でした。

日々の生活の中で、仕事やお金、子どもの躾、双方の両親の介護など、さまざまな問題について夫婦は言い争っています。その現実とセックスという愛の表現が、同一線上にないということなのです。

 

ではどうしたらこの違和感を克服できるか。

これは、

旅行に行くなどして、できるだけ非日常を演出する。

最初の1回をなんとか耐える。

ということしかないように思います。

 

旅行やラブホテルを利用する

自宅は日常生活の場。しかも居間に洗濯物がぶら下がっていたり、子どもの玩具やゲームが散乱していたり。寝室も足元に雑誌が山積していたりで、ムードを出すのは難しい状態です。
また、中高年夫婦の場合、性交痛予防のためにローションは必須ですが、シーツを汚すと翌日洗濯が大変、と主婦なら面倒くさく思ってしまうでしょう。

やはり日常生活を切り離すためには旅行に行くのが一番です。
実際、旅先で久しぶりに再開したというお話をたくさん聞いています。
交際時代に行った思い出の場所で、過去を懐かしみながら当時のワクワク感を取り戻すのもいいでしょう。

また、結婚したらラブホテルに行くこともなくなっていると思いますが、ラブホはダイレクトにセックスに結び付く、それが目的と割り切って行く場所なので、いったん入ったら覚悟が決まり大胆になるものです。
自宅だと、してもしなくてもいい、今日はやめとくか、となりがちですが、ラブホまで行ったらもうやるしかない、と腹をくくることができるのです。

 

行為がうまくいかなくても気にしない

非日常感を演出し、なんとかセックス再開にこぎつけたものの、久々過ぎてうまくいかなかった・・・というのもよくあることです。

男性はEDになったり、慌てて早く終わってしまうなど、カッコ悪い姿を見せてしまう。
女性の場合は受け身なので失敗ということにはなりませんが、何年ぶりかで衰えた体を見られ羞恥心を覚えたり、”夫を幻滅させたかな”と不安になったりします。
終わった時には「やれやれ、何とか完了した」という義務感から解放されたような、ほっとした気分になるでしょう。

それでいいのです。

久しぶりのセックスがそんなにキラキラした感動的なものにならなくて当たり前。
「した」ということに意義があるのです。
とりあえずレス解消の小さくて大きな一歩を踏み出したことを喜びましょう。

 

再開後は間を置かずに2回目を

照れくさく違和感があるのは最初の1回です。
それ以降はだんだんと慣れていきます。

だから、大切なのはあまり間を置かずに2回目を行うことです。
そのうち徐々にセックスが再び日常の中に取り込まれていきます。

いつの間にかスキンシップが増えていたな、とふと気づく日が来るのを信じて、地道に回数を重ねていくことが大切なのです。

 

 

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