妄想力を高める

からだの悩みの改善方法

女性の性の相談で多いのはセックスレス、性交痛、オーガズムがない、というものです。
原因や状況はさまざまなので、万人向けの解決法はないのですが、ひとつ言えるのは自分の体を自分で知ることが改善の近道ということです。

性交痛や、快感はあるがオーガズムがわからないといった相談には、マスターベーションでのトレーニングを勧めています。
しかし女性の場合、マスターベーションをしたことがないという方も多く、最初は
「エッ、そんなことするんですか？」
と抵抗を示されることがあります。なにしろ自分の性器を見たこともなく、どのような構造になっているかわからない方もたくさんいるのです。

そのような方には、

「自分の体について知っておくことは病気の早期発見にもなり健康管理の面からも大切だし、性器を観察しお手入れをすることはご自身のメンテナンスですよ」
と伝えます。
それに、いくら夫や彼の手ではあってもいきなり触られるのは恐さがありますが、自分で触れるなら加減ができるので不安がないし、相手に気を遣わずゆったりと感覚を追うことができると開発も早いと思います。
カウンセリングではそのようなマスターベーションの効用をお話しして、トレーニングに前向きになっていただきます。

トレーニングに有効なセクシュアルファンタジー

しかしトレーニングとはいえ、機械的に触るのではただの苦行になってしまいます。
やはり始める前に性的な高揚感を高めないことにはうまくいきません。

そこで、小説や漫画、女性向けAV、あるいはただの妄想でもいいので、性的な気分になれるアイテムを用意してみてください、と伝えます。

こういう時に利用する妄想のことを「セクシュアルファンタジー」と言います。

いきなりファンタジーといっても何を考えたらいいのか思いつかない方も多いので、

「芸能人でもアニメの人物でも、会社の同僚でもなんでもいいんですよ。頭の中なら何でも自由ですからね」と話すと、

「ああ、そういうのでもいいんですね！」

と具体的なイメージが湧いてくるようです。

ファンタジーはプライベートなものですから、私の方からどんな内容なのか尋ねることはありません。しかしたまに、

「ちょっと言いにくいんですが、私の妄想はヘンなんです」

と打ち明けられることがあります。

その多くが“犯される”タイプのものです。
しかもイケメン男性ではなく道路工事で泥まみれになっている汗臭い中年とか刺青の入ったチンピラ風の人とか、およそ理想からかけ離れた男性に無理やり犯されるのです。

父親や親戚の叔父さんの顔が浮かんで自分でもびっくりしたという方もいます。

潜在意識で望んでいるとも思えない、どう考えても絶対に嫌な男性なのにどうして？と不思議だし罪悪感さえ抱いてしまうということでした。

非現実的なセクシュアルファンタジーの意味

このような非現実的なファンタジーについては男性からも聞かれることがあります。
AVによくあるような展開なだけに、「やっぱり女性はレイプ願望があるんだ」と男性に都合よく解釈されそうなので、妄想と現実は全く別物であり、現実で望んでいることはあり得ないと強く念押しをしています。

しかし女性にこの手のファンタジーがある方は多いので「異常ではない」と伝えて安心してもらいます。

ある心理学者は「女性は日常生活では女らしくふるまい、男性的な攻撃的側面を抑えて行動しているため、その攻撃性を夢や妄想の中で解放したくなる」と言っています。

確かに普段のセックスにおいては男性がリードすることが多く、女性は恥じらいを見せながらも男性によって気持ちよくさせられるという受け身の立場を取っています。しかし女性の中にも攻撃的な欲求があります。それを禁断の関係や力づくでの行為というファンタジーの中で満たしているのかもしれません。

同性がファンタジーの対象になる

もうひとつ「私の妄想はヘン」と言う方に多いのが、

「レズビアンではないのに女性と絡んでいる」
「男女のセックスシーンを覗いているんだけど、その女性を見て興奮している」

というものです。

これも決して異常なことではありません。

男性タレントのヌード写真集も世の中に出回ってはいますが、ファンだから買うということはあっても、性的な目的で購入する女性はそれほどいないのではないかと思います。

男性が女性の裸を見て興奮するのに対し、女性も女性の裸に興奮します。
“男性によって感じさせられている女性の姿”に自分を投影して感じているのです。

フェミニズム系の学説になりますが、長い歴史を通して女性の性は受け身でありそれが習性となっているので、男性の性器を見て興奮するのではなく、男性の愛撫を受けている女性に自分を重ね合わせることで興奮するそうです。

理屈はどうであれ、女性は女性を見て感じるという事実は確かにあると思います。

普段人にセクシュアルファンタジーなど話すはないだけに、私はおかしいのでは？とひそかに不安になっている方はたくさんいます。
特にカウンセリングに訪れるのは保守的な方が多く、このようなファンタジーがあることを恥じているので、「どんなファンタジーでも大いに利用してマスターベーショントレーニングをすればいいんですよ」と伝えるとホッとするようです。

ファンタジーの引き出しが多いと、パートナーとのセックスがマンネリになった時に自分を高める材料にもなります。どんな内容でもアリなので、男女ともに「妄想力」を鍛えておいていただきたいと思います。

カウンセリングでは、浮気、カップル関係、性機能、セックスレスなどでお悩みの方に改善方法をお伝えします。男性からの性癖に関する相談も歓迎です。
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