好きだと言葉で伝えよう
新型コロナウイルス対策で休校やテレワークが続き、自宅で過ごす時間が長くなっています。
仕方なくスマホでニュースを見たりゲームをしたり、YouTubeをダラダラ眺めたりして時間を潰している人が多いことでしょう。
最近は「こんな時こそ本を読もう」と名著を紹介する記事も見かけます。
普段なかなか読めない長編や専門書などに挑戦するのもいいかもしれません。
また、子どもに絵本を読み聞かせしてあげるにはいい機会です。
自分からは本を読まない子どもも、親が読んでくれる物語は大好きだからです。
私が大好きな絵本に「ずーっとずっとだいすきだよ」(ハンス・ウィルヘルム著)があります。
といっても私が初めて読んだのは大人になってから、息子が小1の時の国語の教科書でした。
久しぶりに見る教科書というものにワクワクして目を通していたのですが、読み終わったら号泣していました。
小学1年生でこんなに深い哲学的な文章を読むんだ、と驚いたものですが、考えてみたらすごく単純なテーマでした。
それは、「好きな相手に好きだと伝える」ということです。
これは「僕」と愛犬の物語です。
「僕」は愛犬と一緒に育ちます。家族の誰よりずっと犬をかわいがっていて、いつも「好きだよ」と言葉にしています。
愛犬が老衰した時にはとても悲しかったけど、家族と違って「僕」には後悔がありませんでした。それは毎日「大好きだよ」と言葉にしていたからなのです。
要約すると単純なストーリーなのですがこれを読むと胸がズキンとします。
「愛しきった」という自信があれば、相手の死そのものは悲しくても後悔はしない。
そして、愛していることは言葉にして伝えなきゃわからない。
私たちは「好きだよ」という簡単な一言をちゃんと伝えているでしょうか。
幼児期の子どもには言っているかもしれませんが、成長した子どもにはもう言わなくなっているのではないでしょうか。
パートナーに対してはなおさらです。
恋人時代のラブラブ期には頻繁に愛を囁き合っていたのに、結婚してからは「愛してる」どころか「ありがとう」さえめったに言わなくなった・・・ということはありませんか?
カウンセリングをしていてよく思うのは、言葉を出し惜しみしている人が多いことです。
言葉はタダなのだし、一言伝えるくらい簡単なことなのに、なぜ夫婦の間で愛の言葉が交わされなくなるのかな、と不思議に思います。
スキンシップの少ない日本人特有の照れもあるでしょう。
確かに「愛してるよ」という言葉は重たくて、日本人の日常にはあまり馴染まないかもしれません。
でも「好きだよ」なら口にしやすいように思います。
「長年そんなこと言ったこともないのに、急に言うのは恥ずかしいですよ。向こうもびっくりしちゃうだろうし」
と言う方もいます。
そんな方におススメなのは、「~が好き」と具体的な表現にすることです。
「君のご飯、本当においしくて好きだよ」
「あなたの横顔が好きだな」
「君のそそっかしいところがまた好きなんだよね」
「そういう考え方をする人、好きだわー」
こんな言い方ならハードルが低いと思います。
最初はパートナーの長所や特徴的なところを挙げて好きだと伝える。
そのうち、その人となりすべてをひっくるめての「あなたが大好きだよ」が言えるといいですよね。
相手を失った時にはきっと「ああしてあげればよかった」という後悔がたくさん出てくるのでしょう。
それでも毎日好きだと言っていたのならば、「私の愛情はわかってくれていた」という自信が慰めになると思います。
縁があって一緒になったパートナーに、自分のもとに生まれてきてくれた子どもに、毎日「好きだよ」と伝えてみましょう。これまでの関係性が少しずつ変わってくることと思います。
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