夫の嘘が引っかかる

 

若い世代ではマッチングアプリで出会った相手と結婚する人が増えています。
「アプリで会った人と結婚した」割合は8%という調査もあります(株式会社マクロミル、2018)。

中高年世代は「そんな出会い方で大丈夫なの?」と批判的な見方をしますが、思えば1960年代まではお見合いが主流で、出会って数回目が結婚式だったという人もけっこういたそうです。
まず条件でふるいにかけ、会う約束をし、初対面の印象で交際を決めるというプロセスは、お見合いもマッチングアプリも大差ないように思います。

しかしかつてのお見合いは親戚や上司の紹介でそのプロフィールにほぼ嘘はありませんでしたが、アプリでは意図的に盛っている可能性があります。
身長や体重をごまかすのはご愛敬だし、収入で多少見栄を張りたくなるのも理解できます。
でも笑って済ませられない嘘もあるのです。

 

 

夫のプロフィールは嘘だった

Jさん(35)は来談してすぐに「どのくらいの嘘なら許容範囲なんでしょうね?」
と聞いてきました。

Jさんはまだ結婚1年で、夫(40)とは婚活サイトで知り合いました。
”結婚は生活”と割り切って高望みせず、堅実で安定していることを条件に選びました。
夫は中堅メーカーで年収600万円、両親を早く亡くしており持ち家はありませんでしたが、都心の賃貸マンションは2人でも十分住める広さだったのでJさんが移り住みました。
あまり面白みがあるタイプではないものの、まじめで寡黙なところが気に入り交際半年で結婚しました。

 

しかし最近、夫の部屋にあった古い履歴書から夫の学歴が嘘であったことが発覚したのです。
夫はアメリカの大学卒と言っていましたが、聞いたことがない大学名だったし、それほどレベルは高くなかったのかな、程度にしか思っていませんでした。
学業もあまりかんばしくなかったらしく、学生時代の話をあまりしてくれなかったからです。

「大学について詳しく聞こうとしなかったということは、Jさんはあまり学歴にこだわっていなかったのではないですか?」
と聞くと、
「はい、そうです。もし夫が高卒だったとしても今の年収がよければ構わなかったと思います。だからそんな嘘をつかなくても本当のことを教えてくれてたらよかったのに」
とのこと。
「嘘をつかれていたのは気分がいいものじゃないけれど、ご主人の中にはなにか学歴コンプレックスがあったのかもしれませんね。隠されているのにモヤモヤするのなら、問いただす口調にならないようにして、事実を知ってることを伝えてみたらいかがでしょうか?」
と提案しました。

 

 

くだらない嘘をつく不思議

ところがJさんは、
「夫が嘘をつく理由がコンプレックスなら、まだ理解できます。でも夫はよくわからない嘘が多いんです」
と言います。

例えば、「お昼何を食べたの?」
「てんやの天丼」
という何気ない会話のあと、たまたま夫の財布が目に入りました。
そこには、今日の日付ではなまるうどんのレシートがありました。
値段の張るものを食べた罪悪感から嘘をついたのならわかりますが、てんやもはなまるうどんもそう大差なく、1,000円以下で食べられます。
なぜ嘘をついたのだろう・・・と、くだらない嘘なだけにモヤモヤしてしまいました。

夫はそういうことが頻繁にあります。
最近買った本、ハマっているゲーム、同僚の名前、高校時代によく聞いた音楽など、日常の会話で話すことが、別の日には違う話になっていることがよくありました。
単に忘れっぽいのか、意図的に自分のことを晒そうとしないのかわかりませんでした。

私は嘘をつく当事者の話を聞いたことがあります。
本人は、「そうですね、なんかとっさに嘘をついてしまいます。でもなぜだかわからないんです。思い出すのが面倒くさくて頭に浮かんだことを言っちゃうんですよね」
と言っていました。
その方の場合、他者とコミュニケーションをとること自体が面倒なあまり、適当にその場しのぎのことを言っているようでした。

いわゆる「虚言癖」のある人の特徴として、
プライドが高く見栄っ張り、劣等感が強い、注目を浴びたいといった性質があります。
あえて症状名をつけるなら、演技性や反社会性のパーソナリティ障害の可能性もありますが、多くの場合本人は障害だと思ってはいないでしょう。
あるいは、本当に思い出せない、コミュニケーションが面倒だから適当に言ってしまう、という理由の場合は発達障害傾向があるかもしれません。
大切なのは回りがどうやって振り回されずに対応していくかだと思います。

 

Jさんの夫の場合は日常の小さな嘘のほかに、学歴や両親の離婚といった大きな嘘もありました。
夫は「両親は僕が子どもの頃に自動車事故で亡くなったため父方の祖母に育てられた」と言っていました。
しかしある時不審に感じて戸籍を取り寄せてみたら、夫の両親は離婚していたのです。
今時離婚を恥ずかしく思うこともないのになぜだろう?と考えこんな想像をしました。

恐らく夫の両親のどちらも夫の養育を引き受けず、結局夫の祖母に任せたのだろう。
夫のアルバムには両親の写真がほとんどないところを見ると、どちらも夫に会いにきてくれなかったようだ。
プライドの高い夫は「両親に見捨てられた」という現実を受け止めたくなくて、両親が死んだということにしたのではないか。
そう考えると、幼少期の孤独な少年の姿が見えてくるようで、夫がかわいそうにもなってくるのでした。

 

 

虚言を離婚事由にして裁判離婚

今現在の生活に支障があるわけではないと思い直し、一時期はそれ以上夫の嘘を深掘りしないことにしたJさんですが、半年後に事件が起こりました。
夫は勝手に会社を辞めていたのです。
夫の言い分としては「会社の経営方針に疑問がありこれ以上勤めても将来がないと思ったから」とのことですが、夫はリストラにあっただけではないかとの疑念が生じました。
そして、もう夫の言葉を信じられなくなっている自分に気がつきました。

どんな理由であったとしても退職前には妻である自分に相談すべきです。
「退職金があるし当面問題ない。実は以前からヘッドハンティングされていて、次はもう決まったも同然なんだ」
と笑顔で言う夫の言葉はもはや耳に入ってきませんでした。

離婚に応じない夫と別居し、裁判離婚が成立するまで2年近くかかりました。

夫にDVや浮気といった裏切り行為があったわけでもなく、退職から3か月ほどしてから転職も果たしているので、経済的に迷惑をかけられたわけでもありません。
離婚事由が弱いと弁護士に言われましたが、これまでの夫の嘘を丹念に拾い集め「度重なる虚言で信頼を失った」と主張して離婚を勝ち取りました。

「嘘を集めようと、探偵のように夫の経歴を調べたり私物を漁ったりする過程で疲れ切ってしまいました。実際、知らなかった職歴が出てきたり、なんと若い頃の彼女に子どもを産ませていたことも発覚しました。認知はしたものの養育費は払っていなかったようで、その無責任さには呆れ果てました。夫の嘘は許せないほど大きいものもありましたが、結局嘘の大小ではなく、嘘をついて平気でいるその精神が恐ろしいのだと思います。離婚は正解でしたが、周囲にはマッチングアプリで出会ったことを批判されてしまって・・・これからどんな出会いをすればいいのでしょうか?」

これは難しい質問です。
マッチングアプリでも幸せになっているカップルはたくさんいます。
出会い方ではなく、交際中にどのくらいセンサーを研ぎ澄ませて相手を観察できるかというシンプルな問題ではないかと私は思います。
いつかJさんがいいことも悪いことも正直に伝えられるパートナーと巡り会えることを願っています。

(ご相談内容は個人が特定できないよう変更を加えてあります)

 

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