「セックスできない病」があればいいのに・・・

 

「”セックスできない病”があればいいのに・・・」

これはあるクライエントの男性がつぶやいた言葉です。
「もしセックスできない今の状態にちゃんと病名がついたら、妻も自分自身も納得させることができるのに。病気じゃないから、意志の力とか愛情とかが測られてしまう」

彼の言葉に私も深くうなづきました。
何か問題が発生した時に、原因がわからないことは案外たくさんあります。
しかし周囲には原因の説明を求められ苦しい思いをします。
そして「どうしてもわからない」と言うと相手は「そんなはずはない」と怒り出します。

しかしセックスレスに関する相談は特に、はっきりとした原因が出てこないことが多いように感じます。

性機能に関する悩みであれば、比較的体系的に順を追って検討することができます。

例えば性交痛なら、性器の形状や性感染症の影響などの身体面、年齢が高い方の場合は更年期症状、パートナーのテクニック、恐怖心や過去のトラウマなどの心理面、パートナーとの対話不足など、「体・技・心・コミュニケーション」それぞれの問題を探っていくことができます。
もちろんそれらが複合的に重なっている場合も多いし、パートナーとの関係性となるとすぐに解決とはなりません。
それでも、なんとなくここがうまくいっていないんだな、とわかるだけでも改善に向かうための努力をしようとやる気になれるものです。

しかしセックスレスは正直、一番難しいテーマだと思います。

 

セックスレスの原因

セックスレスの原因を検索するとたくさん出てきます。

 

仕事で疲れている、産後の育児疲れ、パートナーが家族化して性愛の対象でなくなった、パートナーに不満がある、セックスに飽きた、面倒くさい、スマホゲーム依存、ほかにやりたいことがたくさんある、などなど・・・

どれも納得できるようでありながら、「それを言っちゃおしまいでしょ」というような理由でもあります。
それでもある程度原因が特定できれば対策を考えることはできます。

長年のパートナーとのセックスがマンネリで飽きたのならば、セクシュアルファンタジー(妄想力)を高めたり、2人で新しいことを試してみたり(パートナーの同意が必要ですが)、性欲を喚起する工夫をしてみることができます。

よくある「パートナーを性的な目で見られなくなった」というタイプでは、意識的に恋人時代のような気持ちで相手を見てみる、楽しかったデートを思い出し再現してみる、今できるスキンシップから始めてみるなど、パートナーとの関係を再構築していく方法が効果的です。

しかしセックスレスの場合は相手との関係性の変化によるところが大きいので、改善には時間がかかるし、相手に変わろうという意志が全くない場合はどんなに努力してもうまくいかず終わることもあります。

つまりセックスレスはケースバイケースの部分が大きく、定型的な解決策がなかなか見出せないものだと言えます。

 

セックスしたいと思えない

「したくない方」が積極的にカウンセリングに来る場合は改善率が高いのですが、それでもうまくいかないことがあります。

冒頭に挙げた男性がそのケースでした。
(ご相談内容は個人が特定できないよう変更を加えてあります)

Aさん(42)と妻(38)は結婚6年目。
セックスは4年位ありません。
婚活サイトで知り合い遠距離だったため交際期間が短く、結婚するまであまりセックスの相性を考えていませんでした。
しかし結婚してすぐにAさんは”したいと思えない”ことに気づいたのです。
交際は過去に1人のみで、元々自分は性欲が弱いタイプだろうと思っていましたが、それでも新婚当時はワクワクしたし性欲を感じてはいました。
しかし楽しかったのは数回で、それ以降はできれば避けたいと思うようになりました。
応じた時も9割がた中折れし、途中で終わるようになり、ますます億劫になってきて、とうとう妻の誘いを断るようになったのです。

妻は穏やかで人づきあいも上手な明るいタイプです。
夫婦間のコミュニケーションを大切にして、会話もスキンシップも多く、セックスの場面でもAさんを思いやってくれているのがよくわかりました。
途中で終わっても決して責めることなく優しく抱きしめてくれました。
そんな妻に感謝の気持ちを抱いているのに、求めに応じることがどうしてもできませんでした。

半年に1回くらい妻が泣き出して揉めることがありましたが、その都度なんとか収めて今日に至りました。
ところが先日、妻から離婚届を渡されました。
「一生セックスがないのであれば別れるしかないと思う」
と伝えられたのです。
もう妻は諦めてくれているとタカをくくっていたAさんはあわててカウンセリングに訪れたのでした。

 

 

原因がわからない

Aさんは妻に「原因を教えてほしい。それがわかったら諦められるかもしれない。曖昧なままは耐えられない」と言われていました。
自分1人では思いつかないのでカウンセリングの中で整理していきたい、とのことで一緒に考えていくことになりました。

生来的に性欲が弱いのは大前提にあるとしても、ゼロではないのだから何とか引き上げていくことはできるだろうということで、まずは妻から出された宿題の「原因探し」をしました。

両親は性的な話題にどのような反応をしていたか。
性にまつわることを隠すように、後ろめたいこととして教えられてきたか。
思春期にどんな恋愛をしたか。
マスターベーションの妄想対象はなんだったか。
幼少期の友人関係、好きだったこと、大学進学や就職の経緯。

など生育歴を聞きました。
やや内気でコミュニケーションが苦手なところはありましたが、特に両親が性に厳しかったとか、思春期に傷つき体験があったというわけではありませんでした。

それから妻の好きなところ、出会いの経緯、セックスの内容等を詳しく聞きました。
妻の方が性経験が多いことに劣等感があり、自分のテクニックに引け目を感じていたそうですが、妻は決して不満そうな様子を見せたことはなく、いつも楽しそうに反応してくれたそうです。
Aさん本人の弁としては、
「妻を喜ばせなきゃとプレッシャーに感じていたことは事実。でも工夫すればした分いい反応が返ってきて達成感があった。その点は嬉しかったので、コンプレックスが原因ではないと思う」
とのことでした。

過去のトラウマでもない、妻への劣等感やプレッシャーでもない、潔癖症でも特殊性癖でもない。
妻への愛情は強く一生を共にしたいと思っている。

「では妻のためにセックスを義務と割り切って行うことはどうでしょうか。気持ちがついていかないのは仕方ないとして、まずは回数を重ねてセックスを習慣化させて妻との関係性を修復することから始めては?」
と私は聞きました。
するしないを考え過ぎる前に実行に移し達成感を得た方が、結果として前向きになれることが多いからです。
しかしAさんは時すでに遅しで、妻からは「いやいやするくらいならしない方がいい。あなたを見ていれば我慢していることがわかるから、それはかえって傷つく」と言われており、今更欲望が湧いたフリをするのは難しいとのことでした。

「妻には、カウンセリングを受けているうちに欲求が戻ってきたと嘘をついて純粋に性欲から求めていることを強調する」
「セックス前に好みの妄想を膨らませて興奮状態にしておく」
「妻を見ない方が落ち着けるなら目をつぶって集中する」
「ED薬を試す。薬の力だろうと、最後まで終えられれば成功体験になる」
「中折れが心配なら前戯で喜ばせるだけでいいと切り替える」

など提案しましたが、それを試すイメージがどうしても湧かないということで実行できませんでした。

ちなみにAさんはマスターベーションは普通にできました。
セックスレスの皆さんほとんどがそうですが、マスターベーションはストレス解消の手段として普通に行っています。
1人で完結するマスターベーションは、性欲が関わっている行為とはいえセックスとはまた別物ととらえた方がいいのかもしれません。

そしてAさんが発したのが冒頭の言葉です。
「原因探しを頑張ってきたがどうしてもわからない。ただしたくないだけ。気が進まないというよりも、全然したいと思えないという方が正しい。定期的にしたいと思える人が理解できない」
「これを病気と認定してくれる医師がいればいいのに。”セックスできない病”です、と誰かに言ってほしいと心から思います」

Aさん夫婦は日頃の仲が悪いわけではないので、まだ離婚にいたらず現状維持でいます。
Aさんは経済力があり”仮面夫婦”でもいいと割り切れば悪い夫ではありません。
妻がどのような決断を下すのかわかりませんが、私にはAさんの心の叫びがずっと残っています。

ただ、パートナーのセックスレスに悩む方に言いたいことは、原因探しに躍起になるよりも、対症療法として当面できそうなことから試してみる方が、長い目で見たらよい結果につながるということです。

 

 

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