性癖の悩みは電話相談で

 

カウンセリングは対面でじっくりお話しするのが基本ですが、カウンセラーの活動地域から遠い所にお住まいの方や、子育てや介護で家を空けられない方には電話やスカイプ相談が便利です。
また最近はSNS相談も普及しており、文字でもリアルタイムで相談できるようになりました。子どもや人と会うのが苦手な方に向いていると思います。

相談者の年齢や環境によって好みの相談形態は違います。
電話よりSNSを選択する人が増えていると言われていますが、今でも電話利用者が多いのは性癖のご相談です。
対面は恥ずかしいが、ずっと抱えてきた問題を誰かに直に話したい、肯定的に聞いてほしい!という欲求が強い相談分野だからだと思います。

こういう分野なのでたまにいたずら電話もありますが、いたずらのようでいながら「こんな嗜好のある自分はおかしいのか?」という不安をとにかく吐き出したいという本音が垣間見えることが多く、どんな相談も真摯に受け止めることが大切だと思っています。

そんな電話相談の一例として、「自分の性癖はおかしいのか?」と悩んでいる30代男性をご紹介したいと思います。
(ご相談内容は個人が特定できないよう変更を加えてあります)

 

 

裸や自慰を見られたい

「僕には変わった性癖があるんですが、これっておかしいですか?」
とMさん(35)は電話越しに不安そうな小さな声で話し始めました。

性に関する好みに「性癖」とネーミングする方は多いのですが、聞いてみると特に変わったことでもない、ということがよくあります。
妻からの「夫の異常性癖」という相談を聞くと、「口で舐めてほしい」と要求されただけ、ということもありました。もちろんご本人に嫌悪感があるのなら拒否していいのですが、「性癖」と決めつけて異常者扱いをしないように伝えた記憶があります。

さてMさんの言う性癖とはこのようなことでした。

「僕は自分の裸を見られるのが好きです。
でも別に外で露出したいのではなく、風俗の女の子に見てもらうだけです。自慰を見てもらったり、オナクラという専門店では自慰を手伝ってくれます。お金を出せば数人の女の子に囲まれてすることもできます。
素人を募集しているAVに出るのも楽しいです。いわゆる汁男優ですね。一度出たら次々声をかけてもらえるようになって、けっこうハマっています。」

 

性癖をパートナーと共有できるか

潮「Mさんは風俗内で行っているのだし、出演も自分で納得して顔出ししているのなら特に問題ないのでは?風俗にお金がかかって困っているならば、回数を減らすなり、指名する女性の人数を減らすなりとプレイの内容を変えることが必要かもしれませんが」

Mさんが何に悩んでいるのかよくわからなかったので詳しく聞いたところ、

Mさん「女性として僕の趣味をどう感じますか?」
潮「どう受け止めるかは人によるのでは・・・気にしない人もいれば嫌悪感を感じる人もいるでしょう」
Mさん「僕はパートナーともこれをやりたいと思っているんです。自慰を手伝ってもらったり、AV撮影でやる顔射をやらせてほしい。現実の女性は顔射されたくないそうですが」
潮「顔射を嫌がる人は多いと思います。でも女性にも様々な好みがあるから、好みの合う人と出会えればいいでしょうね」
Mさん「出会いがないんですよね・・・実は僕はまだ童貞なんです」

ということでした。

 

挿入に興味がない

私はMさんの性癖云々よりも、数えきれないほど風俗に通いながら、まだセックスを経験していないことが気になりました。

潮「風俗でセックスを経験することに何か不安や抵抗があるのですか?」
Mさん「いや、抵抗はありません。ただ興味がなかっただけです。挿入することに興味がなくて。AV撮影現場で主役の俳優さんが絡んでいるのを見ても、羨ましいと思わないんです」

挿入を伴うセックスを経験してみたら想像以上に楽しいとわかるのかもしれません。
しかし”一度試してみるか”という好奇心もなくここまで来たということは、本当に挿入行為による快感に関心がないということでしょうか。
そもそもMさんは女性と恋愛したい、一緒にいたいという気持ちがあるのでしょうか。

そこでMさんの生育歴を聞きました。
10代の頃はおとなしく女子と話せなかったものの、恋心はあったようです。一度告白してフラれたこともありました。それで恐くなったのか、もともと人といるのが苦手だったせいか、その後彼女がほしいと思うことは特になく、性欲は風俗店での自慰で満たしていました。
今でもパートナーを求める気持ちは特にないものの、そろそろ結婚を考えないとまずいという意識はあるということでした。

 

セックスを試してみよう

私がMさんに伝えたのは、

まずセックスしてみる。

という単純なことです。

セックスによってどんな感覚を覚えるのか?幸福感を味わえるのか?
精神的な充足感があれば、今後パートナーを探す意欲が出てくるかもしれません。
そしてパートナーが自慰を手伝ったり顔射をさせてくれる相手ではなかったとしても、その彼女とのセックスが楽しいものであればそれらの”性癖”が次第に薄れていく可能性もあります。

Mさんにはセックス=コミュニケーション、という視点がまだありません。
だから挿入による一体感に関心がなく、あえて挿入を伴うセックスをしてみようとも思えないのかもしれません。

セックスに何を求めるかは自由です。
でも知らないから興味がない、というのはもったいないと思いました。
まずはセックスを経験をしてみること。
当たり前のようなアドバイスをして相談を終えました。

 

電話カウンセリングのメリット

Mさんがこのような話ができるのも電話カウンセリングだったからだと思います。
いくらこちらが専門家とはいえ、初対面で女性にこういった話をするのは恥ずかしいだろうし、女性に嫌悪感を持たれるかも、と思うと気が引けるでしょう。
私も顔が見えない相手だからこそ、どんな話をされても”この人は変だな”という違和感に引きずられることなく冷静に聞けるような気がします。
それが相談者にも伝わり、受容されている安堵感を覚え、本音を吐露できるようになります。これこそが電話カウンセリングのメリットと言えるでしょう。

このMさんのように、今すぐ何かを解決したいという悩みがなくても、

自分は異常なのだろうか?
これを女性はどう思うのだろうか?
いつかパートナーができた時にこれを隠しておいた方がいいのか?

といった不安が胸をかすめるのであれば、ぜひお話をしてモヤモヤを払拭していただきたいと思います。

 

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