軽いモテで承認欲求を満たす男性
何が浮気に当たるのか
「夫の浮気癖は治らないものでしょうか?」
「浮気は性癖ですか?」
といった相談をよく受けますが、ひとくちに浮気といってもその意味するところは様々です。
風俗通いをする男性。
部下など身近な女性に手を出す男性。
性的な関係はないが女友達が多い男性。
どれがOKかアウトかは妻の価値観によります。
特定の女性との不倫は言うまでもなくすべての妻がNGを出します。
不倫の場合は、恋愛感情と体の関係の両方があるからです。
一方、風俗に関しては意見が割れます。
単なる性欲の解消だから不快ではあるが仕方ないと大目に見ている。
自分以外の女性とのセックスはすべて裏切りである。
風俗通いが不愉快であるのはもちろんだが、自分にバレないようにやるなら咎めない。これは年輩の女性からよく聞く意見です。
では「セックスはしてなさそうだが女友達とよく飲みに行っている」
という場合はどうでしょうか?
これは一番判断が難しいと思います。
まず本当に体の関係がないのかわからないため、疑い出すとキリがなくなります。
仮に本当に何もないとしても、そもそも既婚男性がよその女性と仲良くすることは倫理的に間違っているのではないか?
しかし夫は「友達がいて何が悪いんだ?」と開き直るので余計イラッとするのです。
異性の友人と会うのは悪いこと?
結婚後に異性の友人と会うのは悪いことなのでしょうか?
その是非は倫理観の違いなので夫婦ですり合わせるしかありません。
若い頃から異性の友人が多い環境にいた男性が、結婚を機に全部の友人を断ち切るとはいかないのは理解できます。
またデパートやアパレルなど、女性の多い企業にいる男性が自然と女性と仲良くなるのもあり得ることです。
でも2人きりで飲食をするとなると、どうしても何かしらの好意が混じっているのではないかと疑いたくなります。
浮気相談を専門とするカウンセラーはクライエントを女性限定にしている方が多いと思いますが、私は男性の相談も受けているため、「浮気がバレて離婚を言い出されてしまった」「浮気してないのに疑われて困っている」といった男性側の話を聞く機会もけっこうあります。
本当に浮気をした男性は、深く反省し何とか修復したいと真剣に思うからこそ来談されるのですが、浮気をしていない男性は余裕があるせいか、疑う妻の方が悪いというスタンスでいることも多いのです。
異性の友人が多い男性の特徴は「目つき」
本当に浮気しているのかどうかは本人の言を信じるしかありません。
しかし女友達が多い男性には共通した特徴があることを感じます。
それは、「俺って魅力あるでしょ?」的な目つきなのです。
目ヂカラというのか、フェロモンというのか、何かを垂れ流しながら誘うような目線でまっすぐにこちらを見つめます。
もちろん、私を誘っているということではありません。
そういう目つきで女性を見ることが習慣になっているのだと思います。
男性の年齢は20代から50代まで様々ですが、その目線は共通しているものがあります。
そういう男性を見ると、”ああ、この人はモテたいんだな。広く浅く女性に人気があることで承認欲求が満たされるんだな”と感じます。
「XXさんってステキね」と好意を持たれることが目的なので、それ以上の関係を最初から求めているのではないでしょう。
しかしその視線を勘違いした女性が彼を好きになり、モーションをかけてくることもあるかもしれません。
その時やんわりと逃げられるのか、据え膳を食わなきゃという気持ちになるのか?
うっかり一線を超えるリスクは相当高いと言わざるを得ません。
異性の友人から得られるものは
Bさん(48)も典型的な目ヂカラ男性でした。
特にイケメンというわけではないけれど、ジム通いで引き締まった体、目線をそらさずじっと相手の目を見つめる自信満々の笑顔は、これまで十分モテ人生を送ってきたのだろうと思われました。
Bさんの主訴は、浮気を疑った妻から別居を求められて困っているということでした。
Bさんは大手の外資系企業に勤め、海外、国内ともに出張や短期駐在が多く、各地に仕事関係の知人がたくさんいますが、最近よく行く出張先の担当者が女性で、その彼女との関係を疑われているのです。
Bさんいわく、「本当に食事に行くくらいの関係しかないし、深い仲になろうとも思っていない」とのこと。
潮「どうして疑われるようになったのですか?」
Bさん「ラインのやり取りを見られたんです。でも特に変なことが書いてあったわけじゃないんですよ。『この前はお疲れ様でした』とか、『あの店はおいしかったですね、また行きましょう』とか。敬語を使っているし怪しくないことはわかるはずです」
潮「過去にも似たようなことがあったのでしょうか」
Bさん「仕事柄取引先に女性が多いので、女性と飲みに行くことはよくあり、それは妻にも話しています。でも前から確かにいい顔はしませんでしたね。妻とも仕事関係で出会ったので警戒してしまうのかもしれませんが、私も今更そんなバカな真似はしませんよ」
とあくまでも潔白を主張していました。
しかし私はこれまでの経験から、Bさんのような目つきをする男性は全方位的に女性に好かれようとふるまうタイプだとにらみました。
担当者の女性とどこに行くのか、どんな話をするのかなど経過を聞くうちにBさんが相手女性に期待させるような行動をとっていることが見えてきました。
例えば再会する度にちょっとした気の利いた手土産を持参する。もらっても負担にならない金額だが自分では買わないオシャレな文具とか、一粒何千円のチョコレートなどをあげるのだそうです。
また、Bさんは女性をほめるのは礼儀だと心得ていて、相手の外見や仕事っぷりのいいところを見つけてはほめそやすとのこと。
そういうことは仕事をスムーズに進めるための方略であって、特に下心があるわけではない、と断言していましたが、この強い目線で「あなたの笑顔は素敵ですねえ」などと言われたら、相手の女性はドキッとしてしまうのではないでしょうか。
思わせぶりな態度とまでは言えない程度の親密感で相手をその気にさせたとしても、あからさまな誘惑はしていないのですからBさんに責任はないわけです。
そしてBさんにとっては、女性の好意を感じることが自信になるし、浮気にはならない安全な場所でちょっとしたワクワク感を楽しめるというメリットがあるのです。
行動を変えることで誠意を証明するしかない
相談時間の終盤になって、Bさんはポロッと本音を出してきました。
「まあ、彼女のことが好きかどうかと言えば好きではあるんでしょうね・・・自分から誘うことは絶対ないですが、万一向こうから誘われたとしたらどうなっていたかわからないですね。そう考えると、やっぱり”あわよくば”って思ってたのかなあ・・・いや、好きだといっても好きなタイプというだけで、恋愛感情じゃないですよ、もちろん」
潮「Bさんにとっては仕事がスムーズに進むという利点もあるし、好みの異性といい雰囲気で過ごすことに楽しさもあったと思います。それは誰にでもある感情だと思いますよ。でも妻の勘は鋭いものですからね。普通のラインでも許せないと怒った奥様の反応にはやっぱり理由があるんじゃないでしょうか」
Bさん「なにか匂ってしまったなら僕の落ち度です。もう彼女とは職場外で会わない、ラインはせず会社からメールする、彼女以外の取引先の人とも、2人きりでの食事はしない、という誓いは立てたんですが」
夫婦仲を修復するために、まずはBさんが誓いを誠実に守ることしかありません。
妻もBさんが女性に対して”俺ってイケてるだろ?”という空気感を醸し出す癖があることに気づいており、それが気に食わないのでしょう。
しかしその癖はBさんが無意識にしていることなので恐らく変わることはないと思います。
だから表情や雰囲気を無理に変えるということではなく、「プレゼントや食事をしない」といった行動面を修正することが大切になるのです。
そこで、奥様の信頼を取り戻すためにどんなことをしていくつもりか、話してもらいました。
・日常のコミュニケーションは取れている方だと思うがどこかでないがしろにしている部分があったのかもしれない。今後はもっと妻の仕事や趣味に関心を持ち話を聞いてあげるようにしたい。
・セックスで妻を満足させてきたという自信があったが、別居の話が出てからは妻に拒否されている。信頼を取り戻すまでは無理ない範囲でのスキンシップを重ねていきたいと思う。
・妻が望むならスマホをいつチェックしてもいいしGPS機能をつけられてもいい。疑っている女性と会わせてもいい。本当に潔白なので恐れるものはない。「君の気が済むならどんなことでも応じる」と伝えてみようと思う。
・男女分け隔てなく仲良くなるのはいいことだと思っていたが、異性の知人とは距離を置いた方がいいのかもしれない。女友達を持てないのは正直残念ではあるが、妻の信頼に代えられるものはないので女性との友情は諦めるつもりでいる。
Bさんの提案はどれも実行すべきものと思ったので私も賛成しました。
奥様は別居と言いながらもまだ具体的に行動している気配はないようです。後戻りできなくなる前に真剣に頭を下げて修復に向かってほしいと思いました。
本当は、「周囲の女性にモテたい」とどこかで思っているBさんの意識改革が必要なのでしょう。
友達以上、恋人未満の曖昧な関係を楽しみたい心理は誰にでもあります。
軽くモテたいという「浮気心」と「浮気」は別物だと個人的には思いますが、妻にとっては浮気の道の第一歩としか見えないならば、やはりそこは抑制するしかありません。
しかし私はさすがに「その目つきを変えるべきですよ」という差し出がましいことは言えませんでした。
そこが恐らく一番の問題点なのでしょうけれど・・・
※浮気防止関連の過去記事
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