浮気の跡を残す彼

「彼の性癖に悩んでいます」
と備考欄に記入された予約が入ることがよくありますが、性癖といってもその内容はさまざまであることはこのブログでも度々お伝えしている通りです。

他の人が普通にしていても、自分は受け入れられないと感じる行為の場合。
オーラルセックスや騎乗位、電気をつけたままのセックス程度でも、本人に嫌悪感があると「相手の性癖」と主張します。

抵抗がある人、ない人に分かれる行為の場合。
アナルセックス、前立腺刺激、鏡の前や車中でのセックスなどへの抵抗感は、個人差が大きいようです。

そして拒否反応を示す女性が多いと思われる行為の場合。
最中の撮影、複数プレイ、スワッピング、SM、特定のアイテムを身につけさせられてのセックスなどは、よほど好奇心が強く性に貪欲な女性でないと、受け入れがたい要求だろうと思います。

中にはいくつかの性癖が重なっていると思われる男性もいます。
その場合、パートナーはどれが許せないのかを明確にすることが大切になります。

（以下のご相談は個人が特定できないよう変更を加えてあります）

パートナーの家で浮気を繰り返す彼

Cさん（32）の不倫相手の彼（43）は海外出張の多い仕事で、日本にいるのは月の半分くらいです。
妻とは仮面夫婦状態で、日本にいる間は頻繁にCさんの家に泊まってくれます。
とても性欲が強くCさんの家に滞在している間は1日に何回も求めてきます。彼はテクニックもあるし女性の扱いがうまいのでCさんもどんどん彼にのめり込み、彼の滞在中はできる限り会社を休んでずっと一緒に過ごすようになりました。

付き合って半年経った頃、買い物から帰ったCさんは異変に気付きました。
ベッドルームの寝具が乱れ、シーツに長い髪の毛が落ちています。ゴミ箱には口紅のついたタバコの吸い殻がありました。
どう考えても女性を家に上げたとしか思えません。
すぐに彼を問い詰めましたが、彼は「派遣マッサージを呼んだだけだよ、何を心配してるの？」と平然としています。
とても信じられませんでしたがそれ以上聞いても返答は同じだったのでその時は諦めました。

しかしその後度々同様のことが起きました。
しかも部屋の乱れ方はエスカレートしていきます。
ストッキングがベッドの柱に結びつけたままになっていたり、アイマスクが落ちていたり。これはSM行為をしていたと想像するのが普通でしょう。
ある時はカーテンがレールから半分外れていました。一体何をしていたのだろう？女性がカーテンにしがみつき、それを後ろから犯していたとか？と想像が膨らみどんどん不安になっていきます。

でもどうして彼はこんな証拠を放置しているのだろう？
もしかして、わざと私に見せているのだろうか。
私の嫉妬を煽るのが面白いのか、それとも他の女性と3人でしたいというアピールなのか？
こんなに証拠を残しているのに彼はいつも「知らない」としかいいません。
Cさんは疑うのに疲れてしまいましたが、彼と別れることは考えられず何もできずにいます。

Cさんとの濃厚なセックスは相変わらずでいつも優しくしてはくれます。
だんだんと、”あれは彼の自作自演で浮気はしていないのかもしれない。私を嫉妬させて、それを欲求の起爆剤にしているのかも。あるいは、本当は私とSMチックなことをしたいんだということを暗示しているのかもしれない”
と思うようになりました。

ところがそれから数か月後、彼のカバンから避妊具や風俗店のカードを発見しました。
それも何か国かのものです。彼は海外出張先で風俗を利用していたのです。
彼のような仕事だと性的な接待もあると聞いているし、ある程度は仕方ないのかもしれない。でも海外でも日本でも買春しているとしたら彼はおかしい。これは病気ではないか。

Cさんはもう彼との将来をどう考えていいかわからなくなり来談したのでした。

性癖を分けて考えてみる

潮「彼には複数の問題があるようですね。性癖と考えられる部分はどれなのか考えてみましょう」
ということで書き出してみました。

①性依存症・・・これだけ頻繁に性行為をするのはおかしい
②浮気癖・・・風俗とはいえ度を越した浮気をしている
③SM趣味・・・何をしているかわからないが、SM行為をしているようだ
④露出趣味・・・わざと私にわかるように浮気しているとしか思えない。気付かれるスリルを楽しんでいるのだろうか

ということがあげられました。

潮「どれも悩むと思いますが、Cさんにとって特に抵抗があるのはどれでしょうか？」

Cさん「浮気に関しては、海外の風俗やデリヘルだけだし、継続している相手はいないみたいです。風俗での浮気はある程度仕方ないかなと割り切れます。でも浮気がイヤというより、なぜそんなに頻繁に利用するのかがわからない。”性依存症だから”、あるいは、”SM行為が好きなのに私とはできないから”、という2つの理由があると思うんですよね」

潮「CさんとSMをしようとしたことはないのですか？」

Cさん「それが全然ないんですよ。普通の、というか普通よりずっと優しく丁寧なセックスで満足していました。でもわざと痕跡を残すということは、私にSMを求めていることをそれとなく知らせているんですよね・・・」

彼の真意は私にもわかりませんでした。
可能性はいくつもあります。

・Cさんとは愛情で結ばれており普通の行為で満足している。SM趣味はデリヘルの女性で満たせばいいと割り切っている。

・CさんにいつかSMに目覚めてほしい。そのためわざと痕跡を残し、嫉妬させて好奇心や欲求を掻き立てようとしている。

・Cさんを愛してはいるが一方で苦しめたいという嗜虐的な欲求があり、浮気に悩む様子を見て楽しんでいる。

・本当にズボラな人で、浮気を隠すことができない。

といったことが考えられます。

受け入れられることとイヤなことを明確にする

潮「もしSMを求められたらどうですか？」

Cさん「経験がないので何とも言えませんが・・・彼が望むなら試してみてもいいです」

潮「では浮気をしていることはどう思うでしょうか？」

Cさん「もちろんイヤだけど、それよりも女性を私の家に上げていることが不愉快ですね。私は古い価値観なのか、男性が風俗で遊ぶことはまあ仕方ないと思えるんです。でもそれはあくまで外で済ませてくる場合で、自宅に呼ぶのは気分悪いです」

話しているうちに、彼の性癖に対するCさんの考えがまとまってきました。

一番心配なのは性依存症であること。もし不特定多数とのセックスが止められないのなら治療を考えてほしい。
しかしすぐに治るものではないだろうから、当面は浮気に目をつぶってもいい。
ただし私の家に女性を入れるのは拒否したい。
わざと浮気の跡を残して私に何かをアピールしたいのであれば、極力彼の希望に沿いたいと思う。でもSMプレイはまだしも、３Pだった場合は応じられる自信がないが、とにかくできることはする。

という結論を出しました。

しかし、
「彼がわざと浮気の跡を残す目的が、単に私を傷つけたり嫉妬させたりして楽しむことだったとしたら・・・その性格は生理的に気持ち悪い気がします。その場合、彼を愛し続けられるかわからなくなると思います」

とのことでした。

Cさんはその後、上記のような考えを率直に彼に伝えたのですが、彼は相変わらず「浮気なんてしていない」の一点張りでラチが明かなかったそうです。
そのうちにCさんの気持ちも冷め、結局彼とは別れる道を選びました。

どんな性癖であれ、本人が否定しているうちは先に進みません。
その性癖をパートナーと一緒に楽しみたい場合も、その性癖に悩んでおり止めるための努力をしたい場合も、正直にパートナーに伝え共有することから始まります。
Cさんの彼のように何が目的かわからないままではやがてパートナーも疲れて離れてしまうことでしょう。

どんなに相手のことが好きでも性的な好みが合わないことが明らかな場合、関係を続けるのは難しい。
それだけ性は奥深いものなのだと思います。

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